デンタルニュース
たばことお口の関係
このストレス社会、煙草を吸っている人も少なくありませんね。
女性の喫煙者も増えてきていて、周囲が不快に思っていることは百も承知の上、なにより身体に良くないとわかっていてもなかなかやめられないとおっしゃる患者さまは少なくありません。
タバコはお口にも影響があることは想像に難くないと思いますが、具体的には一体どんな影響があるのでしょうか。
まず思いつくのは、歯のヤニ汚れでしょうか。
歯ブラシでは落ちないので歯科医院でお掃除を希望される方はとても多いです。
パッと見ただけではわかりにくいので、そのヤニにとても怖い影響があることはあまり知られていないのです。
タバコの煙の中に存在する化学物質はなんと1000を超え、そのうち有害なものは300程度もあると言われています。
実際ヤニとして多くの人が認識しているあの汚れは、タールという物質でとても多くの有害な物質が含まれています。
そのタールが歯や歯茎に沈着して残っていると、そこから毎日少しずつ有害物質が漏れ出ているような状態になっています。
身体によいサプリやジュースを飲んでいながら、自らの口の中から漏れ出た有害物質を含んだ唾液を24時間飲み続けていることになります。
また良く知られているニコチンについてはどうでしょうか。
この有害なニコチンは血管を収縮させるので、歯や歯茎が必要とする酸素の供給を阻害して、歯ぐきの弾力をなくしてしまいます。
ちょっと傷ができたり、歯周病が進行していても出血しにくくなっているので口の中の病気に気づきにくくなっています。
たったこれら二つの有害物質の影響だけでもとても危険だとわかりますが、このような物質が300もあるのだとするとぞっとしますね。
そのようなことから、喫煙をしている人と喫煙をしていない人を比較すると歯が抜けたり、歯のトラブルが増えたりする可能性があることが分かっています。
単純に口の中のヤニから有害物質が放出されていることに加え、そのヤニのざらざらした表面にプラーク(歯垢)がつきやすくなります。
口臭から始まって、歯垢がおこす歯ぐきの炎症や、その先の歯周病になっていく過程は非喫煙者でも同じですが、それに加えて有害物質によって起こる歯ぐきのトラブルが誘発され、気づかないまま進行していきます。
硬くなった歯ぐきの下では、歯周病がどんどん進行していきます。
気づいた時に歯科医院でレントゲンを撮ってみると、硬い歯ぐきだけが歯を支えていて、土台となる骨を完全に失っていることが少なくありません。
こうなってしまうとどんな治療もできない手遅れという最悪のケースも起こりえます。
早めに治療を施しても喫煙をしている人は傷の治りが悪いので、何とか始めた歯ぐきの治療やインプラントなどの高価な治療方法も予後が悪くなってしまいます。
喫煙をやめるのは難しい、でもお口のトラブルをせめて早めに防ぎたいと考えている方は定期的なチェックを受けて行くようにしましょう。
まずはこまめにヤニを落とすよう歯医者さんでお掃除してもらうようにしていきましょう。
常にヤニがつかないように、歯磨きを徹底して、また歯の表面を傷つけないように指導を受けましょう。
そのあとは歯ぐきと骨の状態をマメにチェックしてもらうようにして早めに治療を検討できるよう相談していくといいでしょう。
このように切っても切れないタバコとお口の関係を理解して、タバコと上手に付き合っていきたいものですね。