口腔ケアについて
口腔ケアとは、口腔機能・衛生状態の維持・向上のために行う専門的なお口の健康管理です。これを定期的に継続することで、口腔疾病予防・口腔機能回復や、健康状態の保持促進、さらにはQOLの向上までを目指します。
口腔ケアとは、ただ単にお口の中を きれいにするだけではなく、口腔機能を回復させる訓練なども含まれます。
ご自身のお口の中の状態に合わせた訓練を取り入れる事により、毎日のお食事を美味しく楽しめる事ができるでしょう。
口腔ケアはセルフケア(自分自身で行う毎日のケア)とプロフェッショナルケア(歯科医師・歯科衛生士によるケア・アドバイス・リハビリテーション)が基本です。
セルフケア
●適切な歯ブラシや歯間清掃用具を選択し、すみずみまできれいに清掃する
●むし歯を引き起こす甘味食品の量を制限し、栄養バランスのとれた食事をよく噛んで食べる
●全身のリラクゼーションを心掛け、顔面、口腔をよく動かし、摂食・嚥下のための良好な口腔機能を保つ
●フッ化物入り歯みがき剤を使用し、むし歯予防に役立たせる
●定期的に歯科健診を受ける
プロフェッショナルケア(専門的口腔ケア)
●むし歯、歯周病の状況を診て、全身状態、口腔内の状況に合った適切な口腔清掃のアドバイス
●日常的には清掃できない部位の専門的歯面清掃
●口腔機能の維持、回復を図る機能的口腔ケア
●食介護への支援
●フッ化物洗口など、予防に関係する薬剤の紹介と正しい使い方の指導
口腔ケアは気道感染予防の中心に位置づけられています。 また、口腔機能を高める口腔ケアにより栄養状態の指標のひとつである血清アルブミン値の改善が期待できることが、平成15年度の厚生労働科学研究でも明らかにされています。
口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防と、他のさまざまな効果
誤嚥性肺炎のカニズムを考えたときに、さまざまな口腔ケアの予防効果が期待できます。
①器質的口腔ケアにより、口腔と咽頭の細菌数が減少する。
②継続した口腔ケアによって、要介護 高齢者の嚥下するまでの時間が短縮し、誤嚥の予防につながる。
③機能的口腔ケアによって、舌や口唇などの口腔機能が改善し、食べる量が増え、栄養状態の改善が図られる。これにより、免疫能の向上につながる。
老人ホームでは、潜在的に低栄養(血清アルブ ミン値が、3.5g/dl以下)の人が、30~40%前後い るといわれています。その多くが口腔の機能に問 題があることが、最近の研究で示唆されています。 介護予防の取り組みのひとつとして、歯科医師や 歯科衛生士が、口腔機能の低下を起こしつつある 人に対し、義歯を調整することなどにより口腔機能 を引き出し、栄養状態が改善するということが、明 かになってきました。